診断はそれぞれ別のものを測っている
「適職診断」という一語でくくられるが、実際には測る対象が違う道具である。ここを区別しないまま受けると、見当違いの診断を受けて落胆することになる。
興味検査は、何に惹かれるかを見る。ホランドの六類型(現実型・研究型・芸術型・社会型・企業型・慣習型)が代表例だ。長く続けられる領域を探すのに向いている。
性格検査は、どんなやり方で働くと楽かを見る。MBTIやビッグファイブ系がここに入る。環境や協働の仕方を選ぶときの参考になる。
能力・適性検査は、特定の課題をどれだけうまく処理できるかを見る。言語・数理・空間推論などを制限時間つきで測る。採用選考で使われる種類だ。
三つは互いの代わりにならない。興味が高くても能力があるとは限らないし、能力があってもそのやり方が自分に合うとは限らない。
どの場面で何を使うか
目的に沿って選べばよい。
何が好きなのかすら分からないなら、まず興味検査から。選択肢を広げる段階だ。
方向はだいたい分かっているが、どんな組織ややり方が合うか分からないなら、性格検査が助けになる。
特定の職種の選考を控えているなら、能力検査の対策をする。これは進路探索ではなく、関門を通る問題である。
ところが、多くの人が実際に詰まるのは四つ目だ。好きなことも分かった、傾向も分かった、それで今は何をすればいいのか。この問いには、上の三種類のどれも答えない。いまの経歴と資金と時間を計算に入れていないからだ。
無料診断と有料診断の実際の差
価格が精度を保証するわけではない。ただ、おおむねこういう差がある。
無料の診断は設問数が少なく、結果がタイプ名と短い説明で終わることが多い。方向をつかむには十分だが、読み終わったあとに残る行動がない。
有料の診断や相談とセットの診断には、解釈と後続の手当てがつく。値段が分かれるのはここだ。結果そのものより、「だから何をするか」の部分が実際の値打ちである。
選ぶときはこれを確かめてほしい。結果に理由がついているか。なぜこの職業が薦められたのかを説明しているか。いまの条件で何が足りないのかを教えてくれるか。次の一歩が具体的か。この四つがなければ、無料でも有料でも読んで閉じることになる。
結果を信じてよいか判断する基準
診断結果を受け取ったとき、次を確かめれば信頼度を自分で見積もれる。
同じ回答を入れれば同じ結果が出るか。算式が固定されていなければ、結果は揺れる。
スコアの根拠を示しているか。どの設問がどの点数につながったのかを追えないなら、検証する手立てもない。
断定的に言っていないか。「あなたの天職です」のような表現が出てきたら、警戒したほうがよい。診断は確率を扱うのであって、運命を扱わない。
限界を明かしているか。自己申告に基づくこと、状況によって変わりうることを述べる診断のほうが、むしろ信頼できる。
診断一つで終わらせない方法
診断は仮説をつくる道具である。検証は診断の外で起こる。
結果から候補の職業が出てきたら、それぞれについて30日以内にできる小さな実験を一つずつ決める。関連する求人20件の応募要件を集めて表にする、現場の人に30分のインタビューを申し込む、ごく小さな成果物を一つ作ってみる、といったものだ。
一か月後には、診断結果よりずっと正確な情報が手元に残る。実際にやってみてどうだったかは、どんな診断も教えてくれない。
そして、周りに聞く段階を飛ばさないでほしい。自己申告の診断は、自分が自分を見る角度ひとつしか使っていない。一緒に働いたことのある三、四人の観察を足すと、当たり前だと思って書かなかった強みが表に出てくることが多い。
まとめ
興味検査は何に惹かれるか、性格検査はどう働くと楽か、能力検査は何をうまくこなせるかを見る。目的が違うのだから、場面に合わせて選べばよい。
ただし、どの診断を受けても最後の問いは残る。いまの経歴と資金と時間で、実際に行ける道はどれか。ここまで答えるには、適合度と参入可能性を分けて計算し、自己申告に他者の観察を足し、結果ごとに次の一歩を添える必要がある。